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―新人弁護士のキャリアデザイン―
日本の弁護士、法律事務所のあり方から考える

セミナー内容

日時:2015/11/19(木) 2015/11/25(水)  両日15:00-17:00
第1部が基調講演、第2部がパネルディスカッションです。

第2部 パネルディスカッション

パネラー:浅野了一、岬宏美、松岡俊一(25日)、橋本友紀子(19日)

講演に続きまして、弁護士をパネラーに迎えて【弁護士のキャリアデザインを考える】というテーマのもとパネルディスカッションを行いました。
パネラーはベテラン34年目の浅野了一弁護士、経験4年目の岬宏美弁護士、新人弁護士の3名です。
【弁護士のキャリアデザインを考える】というテーマでパネルディスカッションを行いましたが、こちらは、司法修習生や法曹界を目指す学生の方からよくいただく質問をもとに各お題を設定いたしました。その中で何問か紹介させていただきたいと思います。

Q 「新人時代ならではの、苦労話や失敗談を教えてください。それにともなって得た教訓があれば教えてください。」

橋本弁護士

若く見られることが一番苦労している点です。弁護士のイメージとしておじさん。経験の多い人に依頼したい人も多いので、引継ぎ案件の時に、私が担当することを驚かれる人もいました。
急には年をとれませんので、その対策としては、一人の専門家だと自負を持ち、しっかり調べて解答する、提案するようにしています。
こまめに連絡を取って不安感を払拭する等の工夫をしました。
弁護士なのに謙虚で、仕事ではしっかり調べて提案をしてくれて、ありがとう、と言われたのは嬉しい思い出です。

岬弁護士

新人時代は会社員でしたので一般の弁護士の苦労話とは少し違うかもしれませんが、法務セクションに配属になった新人弁護士ならではの苦労話、失敗談としては、弁護士としての知識も経験も乏しく、自信をもった回答をできず相談に来られた他部署の方に安心を与えられないとか、法的にこうなります!と言うだけで相手の方が「じゃあここからどうすればいいの?」と困ってしまうといったことはありました。
また、会社の場合、ビジネスチャンスのためには多少のリスクがあってもアクションを起こさなければならないこともありますし、取引通念上、リスクが顕在化する可能性が低いということもあります。
そういったときに、杓子定規に「こういった法的リスクがあるので問題です。」と言っただけでは、事業部門からは嫌われてしまいます。取引の実情がわからない新人のときは、そういったさじ加減がうまくできず、事業部門の方との信頼を築くのに苦労した記憶があります。

浅野弁護士

40代後半で精神的に体調不良の時期がありました。そうすると何件か進まない仕事がありました。
岡崎の管轄の破産開始事件などは、同期の弁護士に依頼して、扱ってもらいました。
また、管財事件などはパートで復職した事務スタッフさんに手伝ってもらいました。
恥ずかしくても人に協力を求めることは、必要であり、有効であることを知りました。

Q 「就職難だと聞きますが、何を基準に就職先を選ばれましたか。」

浅野先生は反対に採用する側だと思いますので、企業に就職するのか法律事務所に就職するのかではどのように違うか教えてください。

橋本弁護士

私が事務所を選ぶ上で基準にしたのは、4点あります。
まず1点目として、少数の専門分野に特化していることです。弁護士が大幅に増えて、競争が激化している中で生き残れる弁護士になるには、専門分野を持つことで、他の弁護士より競争力を高めることが必要だと考え、専門分野を身に着けられる事務所であることを基準にしました。

2点目は、WEBサイト等による集客力があることです。弁護士大増員時代においては顧客が顧問先と紹介を受けた人だけという従来のビジネスモデルでは、もはや生き残れず、WEBサイト、特に専門サイトによる集客力が重要だと考え、事務所選びの基準にしました。

3点目は、時代の流れを読んだ事務所経営がなされていることです。社会制度や生活様式、価値観の変化が速い今日において、法律事務所もそのような変化に対応しなければ、顧客の支持を獲得し続けることは困難だと考えたので、事務所選びの基準にしました。

4点目は福利厚生が充実していることです。仕事に打ち込むには、できるだけ不安を抱きたくないと考え、事務所選びの基準にしました。

岬弁護士

最初の勤務先については、地元関西で働けるかがかなりポイントになっていました。私の場合、やや特殊な事情があり、修習終了直前に急遽就職活動をしなければならなくなったんですが、時期も時期であり、その頃にはほとんど求人情報がありませんでした。最初は京阪神の法律事務所で探していましたが、あるとき、ロースクール時代にお世話になった先生から、最初の勤務先の求人情報をいただき、その会社のことを調べてみました。
すると、広く名が知れ渡っているわけではないものの、実は私たちの日常生活の安心・安全を支えることに役立っている商品を多数生み出している会社であること、そういった会社が私の地元である関西にあることを知りました。そういった会社に、自分が微力ながら貢献できるというのは魅力的だと感じましたので、その会社への就職を決めました。

ただ、企業では、自分の仕事によって状況が変わるということはほとんどなく、やはり、歯車でしかないというのは否めません。また、企業の場合、いずれはマネージャーになることを考えなければなりません。私が弁護士を目指したのは、生涯、プレイヤーとして、目の前の困っている人の困った状況を打開するお手伝いをしたいというのが根底にありましたので、比較的期の若いうちに法律事務所への転職を考えました。

転職活動の際は、①ある程度の規模の都市の事務所であること、②企業法務よりも、むしろ個人法務に力を入れている事務所であること、③将来的な経営ビジョンを持っている事務所であること、④事務所内外を問わず、他士業と連携して仕事を行うことが可能であること、⑤弁護士が数名所属していること、といった点をポイントにしていました。

浅野弁護士

インハウスと法律事務所とでは、大きく違います。
インハウスは、所属企業の利益のために活動します。それは当事者としての活動となります。法務部門とはいえども、「ひとりの商人」として、会社の利益の最大化に貢献することが求められます。
法律事務所は、市民と中小企業に代理人として貢献することによって、結果として感謝され、報酬をうけとります。どのような立場で活動するのかという違いがあります。

Q 「総合法律経済事務所では実際どのような業務があるのですか。」

浅野弁護士

総合法律経済事務所とは、異なる士業が融合して1つの事業を運営していることです。
例えば、当事務所もその1つですが、弁護士・税理士・司法書士・社会保険労務士の4職種が融合したイノベーションの実現を目指しております。
当事務所で進めていることは、

  1. 1)弁護士・税理士・司法書士のコラボを組んだ相続・相続税・不動産チーム
  2. 2)弁護士・社労士のコラボを組んだ労務問題・労働事件チーム
  3. 3)税理士・社労士・司法書士・弁護士のコラボを組んだ新設法人・企業法務・税務チーム

このようにチームを組んで職域の壁を越えたいと考えております。
そのために、司法書士、社労士、相続・不動産分野担当事務スタッフには、行政書士資格の取得を推奨しております。
異なった職種のオフィスが一か所に集まっているだけでも、価値があがりますが、当事務所が目指すのは、1つのオフィスで1つのチームで複数の職種の分野を融合したサービスの提供です。これは社会やお客様が求めているからです。

岬弁護士

離婚事件では、財産分与として不動産を分与することがままあります。離婚協議書や調停条項の文言が登記手続を問題なく行うことが可能なものになっていなければ、当事者間で分与の合意ができていないと登記手続を完了することができません。そこで、司法書士の先生には事前に文言をチェックしていただくことで、その後の手続をスムーズに進めることができました。
それ以外にも、登記情報の記載でちょっとした不明点があった場合や、登記手続のちょっとした疑問を気軽に聞けるので非常に助かっています。

橋本弁護士

私も、離婚事件で不動産の登記を司法書士の先生にしてもらうことがありますが、依頼者からすると、なるべく手間を少なくしたいという気持ちがありますので、離婚条件がまとまって離婚が成立した後に、すぐに司法書士への依頼ができるというのは嬉しいようです。同じグループですと、事前に相談したり情報を伝えたりしていることも多いので、引継ぎもスムーズです。

このような質問に各々が回答いたしました。
この後、質疑応答では学生の方からたくさんの意見や質問をいただきました。
今後の法曹界を目指す学生の少しでも役に立てばと思い、来年も開催する予定です。