佐藤 寿久Sato Toshihisa司法書士 2018年入所

忘れられないエピソード

佐藤 寿久

法務局では、長期間にわたって相続登記を行っていない土地の所有者の法定相続人を調査し、判明した法定相続人の中から任意の1名の方に対して、相続登記の促進を目的とした通知書を送付する業務を所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成30年法律第49号)第40条に基づいて実施しています。

この通知がきた相続人から相談を受ける司法書士としては相続登記をすることをお勧めします。

しかし、通知のある土地は、30数名で共有している山の中の私道であったり、固定資産税の課税されない免税点を下回っているような土地です。

上記制度では、戸籍等謄本の取得の負担が軽減されてますし、租税特別措置法では、相続登記の登録免許税の負担を軽減しています。

しかし、土地自体に経済的価値がなく、固定資産税も課税されないとなると、相続人からすると登記費用を出してまでなかなか相続登記をする気持ちにはならないようです。

それでも、相続登記は後の世代の為に行うべきと信じ、相続登記の必要性を話すとともに、その土地の周辺状況を公図や住宅地図、航空写真、から調べ、県や市のホームページから公共事業の有無を調べ、法務局に対応を確認した結果など、私が調べられることを全て調べて結果を相談にこられたお客様にお知らせしました。

その時はなるほど、とお帰りになられましたが、2週間後にやはり相続登記をしたいと依頼を受けました。

相続登記の実益はないかもしれないが、必要性はよく分かったし、熱意を感じたから、と言われた時は嬉しかったです。

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